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大家の私がリースバックを勧めない理由|貸す側が暴く定期借家の罠

不動産投資

「老後の生活費が不安。でも住み慣れた家は手放したくない」——そんな悩みの答えとして広告でよく見かけるのがリースバックです。家を売って現金を手に入れ、そのまま住み続けられる。一見すると理想的な仕組みに見えます。

ですが、リースバックで「こんなはずじゃなかった」と後悔する人が後を絶ちません。私は賃貸業を10年営む現役の大家です。”貸す側”として契約の裏側を知っているからこそ、はっきり言えます。多くの人に、私はリースバックを勧めません。その最大の理由が、これから話す”契約の落とし穴”です。

リースバックとは|30秒でわかる仕組み

リースバックとは、自宅を不動産会社に売却し、その会社に家賃を払って同じ家に住み続ける仕組みです。売却でまとまった現金が手に入り、固定資産税や住宅ローンの支払いからは解放されます。

ただし、ここで多くの人が見落とすことがあります。あなたは「家の持ち主」から「家を借りる人(借主)」に立場が変わる、ということです。そして借主になった瞬間、”ある契約”があなたの将来を左右し始めます。

大家として勧めない最大の理由|”定期借家”の罠

カード営業でも不動産でも、私が一番大切にしてきたのは”契約書の一行を読む”ことです。リースバックで何より先に確認すべきなのが、賃貸借契約が「普通借家」か「定期借家」かです。

⭕ 普通借家契約

借主が「住み続けたい」と言えば基本的に更新できる
→ ずっと住み続けられる安心感

❌ 定期借家契約

契約期間(2〜3年が多い)が満了したら終了
→ 会社の都合で再契約を断られたら退去するしかない

リースバックの賃貸借契約は、定期借家になっているケースが少なくありません。「ずっと住めると思っていたのに、2年後に出ていってくれと言われた」——これが”後悔”の正体の一つです。

大家の立場で言えば、定期借家は”貸す側”にとって都合のいい契約です。だからこそ、あなたが借主になるなら、ここを見抜かないと危ない。契約書に「定期借家」と書いてあれば、”期間が来たら出る前提”で考えるべきです。

もう一つの落とし穴|売却価格・家賃・買戻し

定期借家以外にも、後悔ポイントは続きます。元営業として、数字でも正直に伝えます。

  • 売却価格は市場の7割前後になりやすい。「すぐ現金化できる」代わりに、相場より安く手放すことになる
  • 家賃が想定より高い。売却額が大きいほど家賃も上がる設計で、毎月の負担が生活を圧迫することも
  • 買戻しできない。「将来買い戻せる」と聞いていたのに、買戻し価格が高すぎて現実的でない、条件を満たせない、というケース

どれも「契約前に確認すれば防げた」ものばかり。業者は売りたい側なので、不利な条件を自分から強調はしません。だから、あなた自身が確認するしかないのです。

リースバック vs リバースモーゲージ|何が違う?

「家を活かして老後資金を作る」方法として、よく比較されるのがリバースモーゲージです。違いを整理します。

項目リースバックリバースモーゲージ
家の所有権手放す(売却)持ったまま(担保)
資金の受取売却代金を一括借入(年金型/一括)
毎月の負担家賃利息
住み続けられる?契約次第(定期借家に注意)原則住み続けられる
主な提供元不動産会社銀行・住宅金融支援機構

ざっくり言えば、リースバックは「売る」、リバースモーゲージは「借りる」。リバースモーゲージにも、自宅の評価額下落リスクや長生きリスク(資金が尽きる)があるため、どちらも”万能”ではありません。

それでもリースバックが向く人・避けるべき人【セルフ診断】

頭ごなしに否定はしません。リースバックが”合う”ケースもあります。自分がどちらか、チェックしてみてください。

⭕ 向いている可能性がある人

・数年以内に引っ越す予定が元々ある
・短期間でまとまった資金が必要
・相続でもめる家族がいない
・普通借家+良条件の業者を選べる

❌ 避けるべき人

・”終の住処”としてずっと住みたい
・契約書を一人で判断する自信がない
・家族に相談せず急いで決めようとしている
・1社の言い値で契約しそう

後悔しないための3つのチェック

もし検討するなら、最低限この3つを守ってください。元営業として”これだけは”という線引きです。

契約書で「普通借家/定期借家」を忘れず確認(定期なら”いつ出るか”を前提に)
1社で決めず、複数社の査定・条件を比較(売却価格も家賃も会社で大きく違う)
家族・親族にしっかり相談(自宅は”家族の資産”。独断はトラブルの元)

特に2つ目の”複数社の比較”は重要です。1社の言い値で決めると、安く売って高い家賃を払う最悪パターンになりかねません。

よくある質問(FAQ)

Q. リースバックは「やめとけ」「やばい」と言われるのはなぜ?

A. 定期借家で住み続けられなかった、売却価格が安すぎた、家賃が高くて生活が苦しくなった——こうした”契約内容の確認不足”による後悔が多いためです。仕組み自体が悪いというより、”条件を見極めずに契約してしまう”ことが原因です。

Q. 定期借家かどうかは、どこを見ればわかる?

A. 賃貸借契約書のタイトルや条文に「定期建物賃貸借契約」と明記されています。署名前に忘れず確認し、不明なら”普通借家にできないか”を交渉してみてください。

Q. リバースモーゲージのほうが安全?

A. 「住み続けやすさ」ではリバースモーゲージが上ですが、評価額下落・長生きで資金が尽きるリスクがあります。どちらも一長一短で、”誰にでも安全”な方法は存在しません。

まとめ|大家だから言える「焦って契約しないで」

リースバックは、使い方次第で有効な選択肢です。ですが”貸す側”の大家として正直に言えば、定期借家・安い売却価格・高い家賃という落とし穴を理解せずに契約すると、後悔する可能性が高い。だから私は、安易には勧めません。

大切なのは、焦らないこと・一人で決めないこと・複数社を比較すること。あなたの家は、あなたと家族の大切な資産です。業者の”住み続けられます”という言葉だけで判断しないでください。

不動産で”損をしない判断力”を身につけたい方は、こちらもあわせてどうぞ。同じ”大家10年”の視点で、契約や数字の裏側を解説しています。

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