不動産投資で物件を検討するとき、物件概要書と並んで必ず確認すべき資料がレントロール(賃料一覧表)です。
私は2棟のアパート・マンションを保有する現役大家10年目。FP2級を取得し、これまで数十枚のレントロールを読み込んできました。
この記事では、レントロールの見方を7つのチェックポイントに整理して解説します。表面利回りの「嘘」を見抜き、本当に稼げる物件かどうかを判断する力が身につきます。
📋 この記事でわかること
- レントロールとは何か・物件概要書との違い
- 間取り・店舗テナントの空室リスクの見方
- 空室の「想定賃料」が嘘でないか見抜く方法
- 入居時期から賃料の高止まりリスクを読む
- 法人一括借上げ・一斉退去リスクの判断法
- レントロールに書かれない隠れコストの確認法

▲ レントロールのサンプル
レントロールとは?|物件の「今の稼ぎ」がわかる資料
レントロール(rent roll)とは、収益物件の各部屋ごとの賃料・共益費・入居状況・契約期間などを一覧にした資料です。日本語では「賃料一覧表」「賃借条件一覧表」とも呼ばれます。
語源は英語の「rent(賃料)」+「roll(巻物・一覧)」で、もともと不動産の賃料台帳を意味します。
物件概要書とレントロールの違い
| 項目 | 物件概要書 | レントロール |
|---|---|---|
| 内容 | 物件全体の概要(土地・建物・権利) | 各部屋ごとの賃料・入居状況の詳細 |
| わかること | 物件スペック・接道・権利形態 | 実際の収益力・空室率・賃料バランス |
| 用途 | 第一次スクリーニング | 収益性の精密検査 |
| 作成者 | 仲介会社・売主 | 管理会社・売主(オーナー) |
💡 大家10年の実感:物件概要書が「履歴書」なら、レントロールは「給与明細」です。いくらスペックが良くても、実際に稼いでいなければ意味がありません。概要書で第一印象を確認し、レントロールで収益力を精査するのが鉄則です。
レントロールの主な記載項目
| 項目 | 内容 | チェックの目的 |
|---|---|---|
| 部屋番号 | 101, 102, 201… | 全戸数の把握 |
| 間取り・面積 | 1K, 2LDK, 店舗等 | 入居者属性の把握 |
| 賃料 | 月額家賃 | 相場比較・高止まり確認 |
| 共益費・管理費 | 月額 | 実質収入の計算 |
| 敷金・礼金 | 月数 | 退去時の原状回復財源 |
| 契約日・入居日 | 契約開始日 | 入居期間・賃料の経年変化 |
| 契約形態 | 個人/法人 | 法人一括借上げリスク |
| 入居/空室 | 現況 | 空室率の確認 |
チェック①|間取りと店舗・事務所の有無
レントロールでまず確認すべきは、各部屋の間取りと用途です。住居だけの物件と、1階にテナント(店舗・事務所)が入っている物件では、リスクの性質がまったく異なります。
店舗・事務所テナントのメリットとリスク
| 用途 | メリット | リスク |
|---|---|---|
| 住居 | 安定需要・入居付けしやすい | 賃料単価は低め |
| 店舗 | 住居の2〜3倍の賃料単価も可能 | 退去時の収入インパクト大。業種により騒音・ゴミ問題 |
| 事務所 | 法人契約で安定・賃料高め | テレワーク普及で需要減エリアあり |
特に1階テナント型物件は要注意です。レントロール上では全体利回りが高く見えますが、テナントが退去すると家賃収入が一気に2〜3割落ちるケースがあります。
💡 大家の体験談:購入前に周辺の不動産会社や管理会社へ「そのテナント需要があるか」「長年営業しているか」をヒアリングすることを強くおすすめします。私も物件検討時には必ず現地の管理会社に電話して、テナントの入れ替わり頻度を確認しています。
チェック②|空室の「想定賃料」は本当に適正か?
レントロールで空室部分に記載されている「想定賃料」には、販売会社が利回りを良く見せるために高めに設定しているケースがあります。
想定賃料の嘘を見抜く3つの方法
① 成約済みの部屋と比較する
同じ建物内で成約済みの部屋が月3万円なのに、空室の想定賃料が3.3万円になっていたら、0.3万円分は「盛っている」可能性が高いです。同じ間取り・階数の成約賃料と比較してください。
② 周辺相場と比較する
SUUMO・ホームズ等で同エリア・同築年数・同間取りの募集賃料を調べましょう。レントロールの想定賃料が相場より5〜10%以上高ければ要注意です。
③ 管理会社にヒアリングする
物件の管理会社に「この賃料で実際に決まりますか?」と直接聞くのが最も確実です。管理会社は現場感を持っているので、正直な回答が返ってくることが多いです。
🚨 想定賃料が高いと何が起きる?
表面利回り10%で購入したのに、空室を埋めるために賃料を下げた結果、実質利回りが7%以下に落ちるケースが実際にあります。物件価格の交渉材料にもなるので、想定賃料の妥当性は必ず確認しましょう。
チェック③|入居開始時期と賃料の「高止まり」リスク
レントロールの契約開始日を見ると、いつの相場で入居したかがわかります。これが非常に重要です。
例えば、10年前に月5万円で入居した部屋が、現在の相場では月4万円しか取れないケースがあります。入居者が退去しない限り賃料は下がりませんが、退去後は現在の相場まで下がる「賃料の高止まりリスク」が潜んでいます。
高止まりリスクのチェック方法
| 入居時期 | リスク | 対策 |
|---|---|---|
| 5年以上前 | 当時の相場が今より高い可能性 | 現在の募集相場で再計算 |
| 10年以上前 | 高止まりリスク大 | 退去後の賃料下落を利回りに織り込む |
| 直近1〜2年 | 現在の相場に近い | 比較的安心 |
💡 大家の体験談:私が保有する物件でも、新築時に入居した長期入居者と、最近入居した方では賃料に差があります。長期入居者が退去した際に賃料が下がることを想定して、「全部屋が現在相場で埋まった場合の利回り」を事前に計算しておくことをおすすめします。
チェック④|法人一括借上げ(社宅契約)の光と影
レントロールで同じ日付で複数の部屋が契約されている場合、法人による一括借上げ(社宅契約)の可能性があります。
法人一括借上げのメリット・デメリット
| 観点 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 収入安定性 | 法人の信用力で家賃滞納リスク低い | 企業撤退で大量空室リスク |
| 管理負担 | 入居者対応が法人経由で楽 | 法人の意向で一括解約も |
| 賃料水準 | まとめ借りで安定契約 | 個人相場より低めの場合あり |
例えば6戸中4戸が同一法人の社宅契約だった場合、その企業が事業縮小や移転をすれば一度に4戸が空くことになります。法人契約の比率が全戸数の50%を超える物件は、その企業の業績・事業計画も確認すべきです。
💡 確認のポイント:管理会社に「法人契約は何社分ですか?」「契約更新の予定はありますか?」と聞いてみてください。1社集中なのか複数社に分散しているかで、リスクの大きさが変わります。
チェック⑤|入居期間と一斉退去リスク
レントロールの契約開始日から入居期間を逆算すると、退去タイミングの傾向が見えてきます。
物件タイプ別の平均入居期間
| 物件タイプ | 平均入居期間 | 退去の傾向 |
|---|---|---|
| 単身向け(1K・1R) | 約4年 | 転勤・結婚・進学で退去 |
| ファミリー向け(2LDK〜) | 約6〜8年 | 子供の進学・持家購入で退去 |
| 店舗・事務所 | 不定(契約次第) | 業績悪化・移転で退去 |
同時期に入居した部屋が複数ある場合、退去時期も重なる可能性があります。例えば築年数が新しい物件で5戸中4戸が同時期入居なら、4年後に一斉退去が起きるリスクを想定しておく必要があります。
一斉退去が起きると、原状回復費が一度に発生し、空室期間中の家賃収入もゼロになります。修繕積立金がない状態で一斉退去が起きると、キャッシュフローが一時的に赤字になる可能性もあります。
チェック⑥|直近の契約時期でエリア需要を読む
レントロールの契約日を時系列で見ると、そのエリアの賃貸需要の強さが見えてきます。
📐 契約時期から読み取れること
- 直近1年以内に複数成約 → エリア需要が旺盛。安心材料
- 2年以上成約なし+空室あり → 需要弱or賃料設定に問題
- 繁忙期(1〜3月)に集中 → 学生・新社会人需要の物件
- 通年で均等に成約 → 安定需要エリア
空室が長期間続いている部屋がある場合、賃料が相場より高いか、物件自体に問題がある可能性があります。管理会社に「募集開始からどのくらい経っていますか?」と確認しましょう。
チェック⑦|レントロールに書かれないオーナー負担費用
レントロールには家賃収入は載っていても、オーナーが負担する費用は書かれていないことがほとんどです。ここを見落とすと、実質利回りの計算が大きく狂います。
レントロールに書かれない主な費用
| 費用項目 | 年間目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 管理委託費 | 家賃の3〜5% | 管理会社に委託する場合 |
| 固定資産税・都市計画税 | 物件評価額の1.4〜1.7% | 毎年支払い |
| 火災保険・地震保険 | 5〜15万円/年 | 構造・規模による |
| 共用部電気代 | 6〜18万円/年 | 共用廊下・エレベーター等 |
| 共用部水道代 | 3〜10万円/年 | 散水・清掃用 |
| インターネット(無料Wi-Fi) | 12〜36万円/年 | 入居付けの差別化策として導入 |
| 清掃費 | 6〜24万円/年 | 共用部の定期清掃 |
| 修繕積立 | 家賃の5〜10%目安 | 大規模修繕に備える |
| 浄化槽保守(ある場合) | 10〜30万円/年 | 法定検査+定期清掃 |
📐 実質利回りの計算例
- レントロール上の年間家賃収入:360万円
- 物件価格:4,000万円(諸費用280万円)
- → 表面利回り:360万 ÷ 4,000万 = 9.0%
- 年間経費合計:管理費18万+固都税30万+保険8万+電気12万+清掃12万+修繕積立18万 = 98万円
- 空室率10%想定:家賃324万円
- → 実質利回り:(324万 − 98万)÷(4,000万 + 280万)= 約5.3%
表面9.0% → 実質5.3%。この差を知らずに購入すると、想定していたキャッシュフローが出ません。
💡 大家の体験談:購入前に売主や管理会社に「過去1年分の収支明細(管理費・修繕費・光熱費等)」を開示してもらうことを強くおすすめします。レントロールだけでは見えない隠れコストが判明します。私も必ず直近1年分の経費明細を請求しています。
レントロールを一瞬で読み解く7つのチェックリスト
優良物件はスピード勝負です。レントロールを受け取ったら、以下の7項目を短時間で確認する習慣をつけましょう。
✅ レントロール7つのチェックリスト
- 間取りと用途 → 店舗・事務所テナントの有無と賃料比率
- 空室の想定賃料 → 成約済み部屋+周辺相場と比較して適正か
- 入居開始時期 → 古い契約は賃料高止まりリスクを計算
- 法人/個人の比率 → 法人50%超は一括解約リスクを確認
- 入居期間の偏り → 同時期入居が多いと一斉退去リスク
- 直近の成約時期 → 長期空室はエリア需要or賃料に問題
- 隠れコスト → 管理費・固都税・共用部費用を売主に確認
この7項目を10〜15分で確認できるようになれば、スピード勝負の物件検討でも判断を誤りにくくなります。
不動産投資の勉強は何から始める?
レントロールの見方を解説してきましたが、実際の投資判断には融資戦略・税務・管理運営など幅広い知識が必要です。
私自身、不動産投資を始める前にファイナンシャルアカデミーの不動産投資スクールを受講しました。物件選び・レントロール分析・融資戦略まで、現役投資家の講師から実践的に学べる講座です。
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よくある質問(FAQ)
Q. レントロールはどこで入手できる?
仲介会社または管理会社に依頼すれば入手できます。投資用物件の場合、物件概要書とセットで送ってもらうのが一般的です。楽待や健美家などの投資用不動産ポータルサイトで物件を問い合わせた際に、資料として提供されます。
Q. レントロールは誰が作成する?
通常は管理会社または物件オーナー(売主)が作成します。法定書類ではないため、フォーマットは各社バラバラです。記載項目が少ない場合は、追加情報を依頼しましょう。
Q. レントロールの別名は?
「賃料一覧表」「賃借条件一覧表」「家賃明細書」とも呼ばれます。英語では「rent roll」で、語源は賃料台帳を意味します。国土交通省の不動産鑑定評価基準でも使用される公式用語です。
Q. 戸建賃貸にもレントロールはある?
あります。戸建賃貸の場合は1行(1戸分)のシンプルなレントロールになりますが、賃料・契約日・契約形態(個人/法人)・駐車場の有無等は記載されます。駐車場付きの戸建て賃貸では、駐車場の賃料が別立てになっているケースもあるので確認しましょう。
Q. レントロールの賃料は信用できる?
基本的には管理会社の実績数値ですが、空室部分の「想定賃料」は売主側が設定した数字なので要注意です。成約済み部屋の賃料は実績値として信頼できますが、空室の想定賃料は必ず周辺相場と比較してください。
Q. レントロールで「AD(広告料)」とは?
AD(広告料)は入居者募集時に仲介会社へ支払う報酬です。レントロールには直接記載されませんが、管理会社に確認すると「AD1ヶ月」「AD2ヶ月」等の条件がわかります。ADが高い物件は入居付けに苦戦している証拠でもあるので、エリアの需要と合わせて判断してください。
まとめ|レントロールの見方をマスターして投資判断の精度を上げよう
✅ レントロール7つのチェックポイントまとめ
- 間取りと用途 → テナント退去時の収入インパクトを想定
- 空室の想定賃料 → 成約実績+周辺相場と照合
- 入居開始時期 → 古い契約の高止まりリスクを計算
- 法人/個人の比率 → 法人集中は一括解約リスク確認
- 入居期間の偏り → 一斉退去リスクと修繕費の備え
- 直近の成約時期 → エリア需要の強さを判断
- 隠れコスト → 表面利回りと実質利回りのギャップ把握
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